ロシアがウクライナ侵攻してから7週目に入ろうとしている。これから、世界はどうなるのか、考えてみた。
戦争の長期化
ロシアがウクライナ南部と東部に戦力を注力しようとしているのに対して、欧米諸国はウクライナにより強力な武器を供与しようとしている。これは何を意味しているかというと、NATOはもはや単なる停戦ではなく、ウクライナ軍によるロシア軍の撃退に舵を切ったということだろう。プーチンにとってロシア軍の敗退は到底、受け入れられないので、勝つまで戦争を継続するしかない。言い換えれば、プーチンが失脚するまで、戦争は続くということである。
ところで、NATOがなぜ、ここまで踏み込んだかというと、国連が機能していない現在の国際社会で、ロシアのウクライナ南部および東部の占領を認めてしまえば、戦争を違法としている国際法秩序が形骸化して、国際社会が無法化するからである。
通常は、米国が理念的・理想主義的な動きを見せるものだが、今回は、EUが理念的・理想主義的に動いた気がする。
核拡散の恐れ
今回、核保有国が戦争すると、他国は介入できないことが明らかになった。結果的に、北朝鮮の金正恩の核保有戦略は正しかったことになる。韓国ではすでに、核保有について議論が始まっているようだ。日本でも安倍元首相が「核共有」という一石を投じている。非核三原則はいずれ放棄せざるを得なくなるだろう。
新たな冷戦
民主主義陣営 vs. 権威主義陣営という対立はどうやら定着しそうである。今回、不思議なのは中国の対応である。習近平はプーチンと心中するつもりなのだろうか。これまでの権力主義的な外交路線が完全に裏目に出て、思考停止に陥っているようだ。
誰もプーチンを止められないというロシア、そして、硬直的な中国の対応を見ていると、やはり、チェック機能が働かない権威主義的な政治は、一旦、リーダーが判断を誤ると修正が効かなくなる。今回のウクライナ侵攻で、ロシアは弱小国に転落するであろうし、中国が世界のリーダーになれないことも明らかになった。
時間はかかるだろうが、民主主義陣営が勝利を収めることになるだろう。
エネルギー地図の改編
今回、EU特にドイツは、ロシアにエネルギー依存する危険性を学んだ。今後は、ロシアに替わるエネルギー供給国を必死で確保すると同時に、再生可能エネルギーへのシフトを加速することになろう。
また、ドイツの脱原発はロシアからガスを直接パイプラインで運ぶノードストリーム2が前提となっているので、この前提が崩れる以上(ロシアのウクライナ侵攻後、ドイツのショルツ首相はノードストローム2の中止を決定)、ある程度、原発に回帰する動きが出てくるだろう。
エネルギー供給源を分散するという意味では、サハリン1及びサハリン2から撤退しないという日本政府の決定は正しいのかも知れない。日本でも小型原子炉の研究を進めるべきという話は出てくるだろう。脱原発論者の私としては残念なことだが、ここは二項対立ではなく、二項同体という発想に転換すべきなのかも知れない。
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