
SDGsで経営革新
SDGsって何のこと?
最近、良く耳にするSDGsって、一体、何のこと?我が社とどんな関係があるの?と思われる方も多いと思います。
SDGsとは、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」のことです。非常に噛み砕いて言うと、これまでの金儲け一辺倒の経済活動では地球環境が破壊されて、人類が滅亡してしまう。我々人類が地球に住み続けることができるように、経済活動のあり方をあらためよう、ということです。

この地球の右半分がこれまでの世界のあり方です。産業革命後、石炭や石油を使って経済発展した結果、二酸化炭素などの温室効果ガスで地球の気温が上がり、世界各国で異常気象が発生しています。
左半分がSDGsのイメージです。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使って、人類が住める地球環境を維持できるような経済発展を目指そうというものです。

日本には昔から、近江商人の ①売り手よし、②買い手よし、③世間よし、という「三方良し」という考え方があります。この「三方良し」の「世間よし」を「地球よし」まで広げたのがSDGsと考えると分かりやすいでしょう。

今年のNHKの大河ドラマ『青天を衝け』の主人公渋沢栄一が唱えた「論語と算盤」もSDGsのさきがけと言えるでしょう。経済的利益を追う「算盤」だけでは、繁栄は永続きしない。同時に道徳的価値を目指す「論語」を携えてこそ繁栄は永続するという渋沢栄一の教えはSDGsの本質を表しています。
こんなことで悩んでいませんか?
我が社とどんな関係があるの?
SDGsの何から手をつけていいか分からない
本業がコロナ禍でじり貧である
他社と差別化したいが、どうしていいか分からない
新規事業を始めたいが、どうしていいか分からない
我が社とどんな関係があるの?
実は大ありなのです。理由は、ポストコロナ時代にはSDGsの動きが加速するからです。
特に、カーボンニュートラル(=「脱炭素化」)への動きは待ったなしとなります。
SDGsとカーボンニュートラルの関係は、後で詳しく説明しますが、昨年10月に菅総理が2050年カーボンニュートラルを宣言し、今年、気候変動問題に本格的に取り組む米バイデン政権が誕生したことで、今後、SDGs、なかでも脱炭素化に向けての様々な規制が国際的にも国内でも強化されていきます。
これまでは様子見だった産業界も、SDGsへの各国政府の動きが明確になったことで、雪崩を打って、SDGsの取り組みを強化します。
中長期的には、大手企業はSDGs(特に脱炭素化)に取り組んでいない中小企業との取引を停止するようになるでしょうから、SDGsの取り組みは死活問題になります。
短期的には、SDGsに取り組むことで競合他社と差別化できるようになるだけでなく、企業イメージが良くなり、社員採用の面でも良い影響が出てくるでしょう。
要するに、中長期的にはSDGsの取り組みは避けられず、短期的には経営にとって良い影響が見込まれるので、SDGsの取り組みは早いもの勝ちなのです。
今ある取り組みからできることを考える
SDGsに取り組まなければいけないことは分かったとして、では、何から始めれば良いのでしょうか?
SDGsには17の目標のもと、169のターゲットがつくられています。17の目標だけをみると、課題が大きすぎて、具体的にどうすれば良いかまでは分からないかも知れません。
1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられる街づくりを
3. すべての人に健康と福祉を
12. つくる責任 つかう責任
4. 質の高い教育をみんなに
13. 気候変動に具体的な対策を
5. ジェンダー平等を実現しよう
14. 海の豊かさを守ろう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
15. 陸の豊かさを守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
8. 働きがいも経済成長も
17. パートナーシップで目標を達成しよう
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

そこで、17の目標の細目にあたる169のターゲットを見ていきましょう。例えば、目標7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」にもとには、次のような5つのターゲットが掲げられています。
2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。
これでも、まだ、課題が大き過ぎると感じられるかも知れませんが、石油や石炭などの化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が求められているという方向性は見えてくると思います。さらに、具体策に落とし込む方法については後述します。
カーボンニュートラル(「脱炭素化」)がSDGsの主流に
「カーボン」とは「二酸化炭素(CO2)」のことです。「ニュートラル(中立)」とは、排出と吸収がつり合って差し引きゼロになった状態、つまりCO2排出が「『実質』ゼロ」になった状態のことです。
2018年、IPCC(=「気候変動に関する政府間パネル」)が産業革命後の気温上昇を1.5°Cに抑えるためには2050年頃にカーボンニュートラルを実現する必要があると発表したことから、2018年以降、世界各国が次々にカーボンニュートラル宣言を出すようになりました。特に、昨年9月にCO2排出量1位の中国が、また、今年、CO2排出量2位の米国がカーボンニュートラルを宣言したことで、カーボンニュートラルの流れは決定的になりました。日本は昨年10月に2050年カーボンニュートラルを宣言し、2030年までに2013年比でCO2を46%削減するという中間目標を発表しています。
カーボンニュートラルに密接な関係があるSDGsの目標は、「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「8 働きがいも経済成長も」「9 産業と技術革新の基盤をつくろう」「11 気候変動に具体的な対策を」「17 パートナーシップで目標を達成しよう」などです。






「脱炭素化」で求められる「守り」と「攻め」の戦略
日本政府が2030年までにCO2の46%削減という中間目標を明らかにしたことで、SDGsの中でも脱炭素化がらみの目標が重視されるようになります。こうした中で、企業はCO2排出を減らす「守りの戦略」と脱炭素化を事業機会と捉える「攻めの戦略」の両方が求められます。
ここでは、脱炭素化をチャンスととらえて競合他社との差別化を図る「攻めの戦略」をご紹介しましょう。最も基本的な考え方は、自社が提供している商品・サービスの ①エネルギー源、②原材料、③提供プロセス、のそれぞれを脱炭素化の視点で見直すというものです。
商品・サービスの「エネルギー源」を脱炭素化する
商品・サービスの「原材料」を脱炭素化の視点で見直す
商品・サービスの「提供プロセス」を脱炭素化の視点で見直す
例えば、自動車メーカーのガソリン車からEVへのシフトはエネルギー源を脱炭素化する動きです。原材料の脱炭素化という切り口ならば、アパレルメーカーが繊維素材を合繊から天然繊維に切り替えるという戦略が考えられます。提供プロセスの見直しという切り口では、物流会社が共同配送に取り組むことで、エネルギー効率を上げることができるでしょう。
脱炭素化で新規事業をつくる
究極の「攻めの戦略」は、脱炭素化を事業チャンスととらえて、新しい事業をつくることです。まずは、どんな事業機会があるのか、潜在的なものも含めて網羅的に発掘します。そのうえで、自社が持っている技術や知的財産、ノウハウなどの無形資産、施設・設備・資金のような有形資産に着目して、脱炭素の切り口で新規事業を開発できないか検討するのです。
脱炭素化
(事業機会の発掘)
脱炭素化を起点に、潜在的な事業機会を網羅的に発掘する
自社らしさ
(自社の経営資源)
X
自社の経営資源を組み合わせて、スケールできる事業機会への発展余地を探る
成長が期待される14の分野
経済産業省はカーボンニュートラルに伴う成長産業として次の14分野を挙げています。今後、この分野には集中的に投資が行われますので、この分野における事業機会を見つけると成功率が高まります。
エネルギー関連
①洋上風力
風車本体・部品・浮体式
②燃料アンモニア
発電用バーナー
③水素
発電バーナー・水素還元製鉄
運搬船・水電解装置
④原子力
SMR・水素製造原子力
輸送・製造関連
⑤自動車・蓄電池
EV/FC・次世代電池
⑦船舶
燃料電池船・EV船・
ガス燃料船
⑥半導体・情報通信
データセンタ・省エネ半導体
⑧物流・交通・
土木インフラ
スマート交通・FC建機
⑨食料・農林水産
スマート農業・高層建築物
木造化
⑩航空機
ハイブリッド化・水素航空機
家庭・オフィス関連
⑫住宅・建築物
次世代型太陽光発電
⑬資源循環
バイオ素材・廃棄物発電
⑭ライフスタイル
地域の脱炭素化ビジネス
⑪カーボンリサイクル
コンクリート・バイオ燃料・
プラスチック原料
一緒にSDGsに取り組んでみませんか?
コロナ禍で多くの企業が売上を激減させています。そんな大変な時に、このサイトにたどり着いたあなたは、こんな時だからこそ何か手を打たなければ、と考えているはずです。
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